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後藤裕文(ごとうひろぶみ)

提案が多めのソフトウェアエンジニアです。 デザイナーやライターなどエンジニア以外のスタッフと密接に協力してシステムを開発するのを得意にしています。

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2010年06月01日 21時30分

電子書籍と電子雑誌

ソフトバンクがビューンという雑誌のサービスを開始した。 雑誌の紙面をスキャンしてそれを閲覧する有料のサービスだ。 閲覧できるのは一部の記事で、発売日から少しずつ閲覧できる記事が増える。 このサービスに購読希望者が殺到して、サーバーがダウンしてしまった。

それほど読者は電子雑誌を求めている。 広告代理店や電子書籍ソフトの開発者などは好機と判断して積極的な行動に出ている。 しかし出版社の反応はあまり積極的ではない。 雑誌というのは10万部でも休刊することがある規模のものだ。 現在の端末の普及率ではなかなか難しい。 また、元々大量に販売するときの原価はかなり安いので、電子化したから安くできるものでもない。 だから出版社は電子雑誌に積極的になれない。 出版社は高い利益率を前提に高コスト体質になっているのだ。

電子書籍と電子雑誌を一緒に論じることはできない。 1Q84のような例外はあるが、ほとんどの書籍は売れていない。 したがって書籍ではなかなか利益が出せない。 何とか工夫して赤字を出さないように苦労しているような状態だ。 出版社は書籍で経営を維持しているのではないのだ。 電子書籍を作れば余分な作業が発生する。 たとえ少し売れても人件費が高いので黒字にはならない。 よほど売れる見込みがないと電子書籍を出す意味がないのだ。

現在の販売されている電子書籍と電子雑誌の多くは、スキャンしただけのような単純な変換作業で作成されたものばかりである。 人件費が高いので手間をかけることができない。 しかし、電子化するにはそれなりの手間をかけなければ読みやすいものにはならない。 これでは読者の電子読書体験がいいものになるはずがない。 だから、1度買った人がリピーターになりにくい。 その結果を見て電子雑誌、電子書籍は売れないと判断してしまう。

この流れを大きく変えないと出版社の積極性が出てこないと思う。 電子化で不況を克服できると確信できるまで、出版社の及び腰の姿勢は変わらないだろう。 たとえ電子書籍と電子雑誌が大成功したとしても、かつての高い利益を回復できる可能性は低いと思う。 その覚悟と準備ができた出版社から電子化に進むと思う。